課税シフト

ガソリンのことについて論じておいて、
踏み込みが足りないと感じたので補足として
所見を述べておきたいと思います。

今後、石油関連税制において
国会で論じてゆかねばならないことは、
「課税シフト」についてだと
私は考えています。

私の言う「課税シフト」とは、
「税率」についてのシフトではなく、
「税金を何に課税するか」ということを
その時代の要求、未来への財産継承、資産形成のために
必要に応じてシフトしてゆくことです。

今の国会は与野党ともに
この「課税シフト」についてのベクトルがあいまいで、
とりあえず税源の穴埋めを、あちこちから取り繕う方式で
つじつまあわせをしようとしてしまっています。
ここ数年の実施された課税シフトをみると、
しわ寄せが教育分野や社会保障費削減に向かっており、
いわゆる「人材教育」すなわち将来への資産形成という
未来志向予算の削減、そして社会的弱者である
高齢者や障害をお持ちのかたへの負担増となってしまっています。

わたしは常々「税金を変えたい」と主張してきましたが
これは、まず第一歩として
「租税構成を変えて、租税規模は変えない」ということが
一番混乱せず、スムーズな税制改革のスタートだと思っています。
では、どこから切り込むか?ですが、
好例がありますので紹介しておきます。

「課税シフト」を時代をしっかりにらみながら進めているのは
EUヨーロッパ諸国です。
各国の傾向をざらっとみてみると
所得税を減税して、その穴埋めを環境関連税を増税しています。
彼らのコンセプトは明快です。
「自然資源を開発するためにお金を使う時代は終わった。
今は、自然資源を守るためにお金を使う時代になった」
ということです。
各種資料をみると、ドイツが1999年から実施した
エネルギー税の段階的引き上げに伴い、
リサイクル産業および新燃料産業への雇用が増大し、
雇用の改善につながり、同時に課税シフトされた
所得税減税と相まって、景気の浮揚につながっています。
このように、「課税シフト」により、
「次に生み出されるもの」が描けないようでは
良い国家運営であるとは言えないと私は考えます。

そこで、本題の日本の石油関連諸税ですが、
この際、しっかりとした論議をして、
たとえば、もしこのまま暫定税率を継続させるとしたら
税金の使途を石油に代わる新エネルギーの開発や、
高齢者のみなさんなど交通弱者のかたがたのための
小回りの利く公共交通の充実策などに向けてゆくべきで、
最悪の選択は「今までどおり」ないしは「今までに準ずる」
ということ。これすなわち、ほんとうにあるべき姿の
税金の使い方とは程遠い「既得権益の保全」ですから。

以上、個人的な所見として
石油関連諸税をめぐる議論にどうしても望みたいことを
申し述べておきます。
もちろん、地方からもきっちりとこういう議論をしてゆきます!
それが「地方主権」につながるのですから。
 

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