東京出張の機会をとらえてデモの現場に行ってみました。
胸の議員バッチは外して、ひとりの抗議の意思をもった日本人として。
国会正門前。
午後4時ころにもかかわらず、国会をぐるりと取り囲む警察の装甲車両。
その外側に閉じ込められるように人垣が延々とありました。
アジ演説をする国会議員。
マイクで扇動をするひと。
明らかに関係団体の旗をかかげ動員されたと思われる人々。
・・・・ここまではいつもの国会前のデモの風景。
しかし、今回はいままでとは違う”知らないひとたち”が
たくさんいらっしゃることにすぐ気が付きました。
このひとたちはアジ演説や扇動するマイクに応えることはあまりなく、
ただそこにいました。
黙って抗議のプラカードを掲げるひと。
いかにもエリートサラリーマンという男性が立っている。
中年のご夫婦。背筋のぴんとした老紳士。
NPO団体でも、PTA団体でもない幅広い年代層の普通の女性。
感じるのは強い意志。
何人かのかたと話してみました。
『今回は、こなきゃならないと夫婦で話し合ってきた』
『抗議を示すには、と考えたら来るしかなかった』
本物の自分の意思です。ひとりひとりが。
そして、だいたい共通していた今回の一連の問題意識はやはり「憲法違反」。
法治国家の根幹たる憲法の解釈を、ひとりの総理が、たかが内閣の閣議決定で
都合の良いように変えるのはおかしい。いやダメなんだ。と。
そこには、自民党とか民主党とかという政党のレベルではなく
ましてや右とか左とか、不幸にも観念が固定されてしまった判断基準しかもてない
”ダサイ、イケてない人間”の思想レベルでもなく、
人間としての尊厳と基本的人権のもとに意思をもって集まったひとたちが
確かにいらっしゃいました。
民主党をはじめとする野党は抵抗していますが、
遅かれ早かれ法案は通ることになるでしょう。
さて、問題はそのあとです。
与野党とも、結局永田町はあいかわらず永田町的な動きをするのかもしれません。
今回はそれで収まることではないかもしれないと、現場の皮膚感覚の”予感”を明記しておきます。
政党政治が崩壊するかもしれませんし、政治不信が爆発的に高まるかもしれません。
日本にはあり得ないと思っていた混乱があるかもしれません。
正直”怖さを感じます。
でも、ひるんでいるわけにはいきませんね。
日本人としての矜持をもった人間として、またひとりの政治家としても、
強く信念をもって生きてゆかねばと痛感する”現場”でした。