土地利用について②

そもそも日本の土地利用計画を縛る「都市計画法」は、
土地を「都市地域」と「農村地域」に区分することであって、
それが「市街化区域」と「市街化調整区域」です。
つまりは「都市」と「農村」を分離する考え方なのです。

で、それを徹底すればそれはそれでキレイな土地利用区分が
できたはずなのですが、そうはいかなかった。
つまりは「例外」を多く認めて、都市であるはずの
「市街化区域」のなかで農業振興策が同時展開していたり、
優良農地のなかに次々と住宅が建ってしまったりという
「例外」だ。
これは、「市街化区域」を設定するときに、そのエリア内に
「農地」が多く含まれたことや、必要な宅地供給が進まなかった
こと、農家における分家が農地のど真ん中に住宅が建つことを
許してしまってきた、などということが理由として挙げられる。
また、都市化が進行しているのに、「市街化区域」が設定されないと、
無秩序に開発が進み、土地利用が非効率極まりないものに
なっていった、という例もあります。

浜松市も政令指定都市となり、このいわゆる「市街化区域」と
「市街化調整区域」をわける「線引きされた地域」が増大しました。
でも、時代の要請は逆で、「都市と農村の統合を図る大局的な計画」が
求められているのです。いわば「混在的土地利用計画」とでも
表現しましょうか。これは、ドイツの土地利用政策にヒントが
あると私は考えています。

 ドイツでは、ひとつの市ないし地域の土地利用計画を立てるとき
まず、大きなくくりでの「土地利用計画」を立てます。
これは、直接そこに住む住民を拘束するものではなく、
その地域の将来にわたるグランドデザインがまず示されます。
具体的に書くと、
「この地域は将来こんな幹線道路と鉄道が通って、
こんな産業が求められるニーズが発生するでしょう」
「この程度の住宅と農業地域と緑地は確保してゆきたいですよ」
「各地域ごとには地勢的にこんなことどうでしょうか」
と、いうようなかんじでしょうか。
つまりは、「将来のあるべき姿」を示します。

で、つぎに「地区詳細計画」が示されます。
これは住民を拘束するものであって、建設管理がおこなわれます。
ただし、住宅ひとつとってみても、「住居地域」「村落地域」
「混在地区」などに細分されており、地域の実情を十分配慮した
かたちになっています。

 この「ドイツ型」から言えることはなにかというと、
地域の実情をキチンと反映しているからこそ混乱せず、
より理想に近い土地利用とまちづくりができている、ということです。
つまりは、ムリのない住民本位のまちづくりと言えるのではないでしょうか。
最近、海外視察についてオンブズマンやマスコミがうるさく、
自粛や取りやめの傾向がありますが、私としては
この「ドイツの土地利用政策」はぜひ実際に見てみたいものです。

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