米国ジョージタウン大学のリーダーシッププログラムのフォローアップ講座が東京でありました。
ジョージタウン大学から教授陣が来日してのプログラムですが、今回も非常に勉強になりました。
ジュージタウンで過ごした濃密な知性の戦いの時間が戻ってきたようで至福の時をすごせました。
私はGULP4というチームでの留学組ですが、当時のメンバーがほとんど顔をそろえての
同窓会も兼ねた楽しい講義となりました。
さて、その講義をすべて紹介すると膨大なブログになってしまうので、
サム・ポトリッキオ教授の講義から少し紹介します。
彼は、ジョージタウンの講義で人気NO1を獲得したこともある新進気鋭の学者ですが
ロシア情勢も専門のひとつとされており、ロシアプレデンシャルアカデミーにも在籍されています。
以下、彼の講義のごく一部を紹介します。
『プーチンは今、非常に高度なチェスのゲームに取り組んでいる。
ロシアではプーチンの支持率は下落傾向にあり、経済も数年後には不況がくることが予測される。
また多民族国家である国内情勢も安泰ではなく危険なテロ脅かされている。
そのなかで、彼が選択した駒がクリミアだ。
ジオポリテックスから言えばクリミアのロシア編入は決して得策ではない。
しかしあえてクリミアを選択したのは、それがプーチンの権力保持のためにはとても良い一手だからだ。
この一手の持つ意味は、
①クリミアの併合により国内に力を誇示し、ロシアへの愛国心と忠誠心を高める
②クリミア併合に反対して欧米諸国がロシアに経済制裁を加えることを予測。
これは、さらなる愛国心を高めることと、ロシアに不可避である不況がおとずれても
”欧米による経済制裁のせいだ”と声高に叫ぶことができる、という恐るべき連立方程式ができる。
③そして、USSRかつてのソビエト連邦の再建をし、独裁色を強めてゆける。
プーチンの考えていることは、欧米諸国にクリミア併合に対する強硬な制裁を下す判断を鈍らせ、
自由主義国家群に軋みを与えている。そして今、彼のロシアでの支持率はうなぎのぼりだ。
そしてもうひとつ注視すべきことがある。
それはロシア同様の国内問題を抱える中国が、今このチェス一手の成り行きをとても興味深くみている。』
・・・ざっとこんな内容でありましたが、
個人的見解としてこのところこのブログでも述べてきたように
昨今の世界情勢や、日本政治のムードで左右される危険性について不安感を募らせ、
冷戦の終結で、民主主義が勝利し「エンドオブヒストリー」と言われた民主主義の時代が
軋んできているとかんじていたところだっただけに、
この講義はその不安を的中させるような、いやそれ以上に衝撃的でありました。
うーん。
民主主義は面倒な制度であることは間違いありません。
しかし、このままでは独裁者につけこまれるスキがだいぶ露呈しているという事実も間違いありません。
さて、どうやってこの局面を打開してゆくのか。
まもなく、オバマ大統領が来日します。
そこでどんな話し合いがおこなわれ、安倍総理がどんな決断を下してゆくのか。
これは、とても大切な局面となります。
ますます、国際情勢から目が離せない今日この頃になっているということですね。
私たちは、大変な時代に生きているということをあらためて実感しなければなりません。