2005年に湖西市で起きた、ブラジル人女性運転による交通事故で
当時2歳の山岡理子ちゃんが亡くなり、犯人が事故直後ブラジルに帰国逃亡した事件。
2年前にブラジルでおこなわれた裁判で有罪判決が下されていたにもかかわらず、
サンパウロ州高裁の控訴審で時効判決がだされたことには大きな衝撃を受けました。
”ブラジルの法によるものだから致し方ない”というのは簡単なことかもしれませんが、
それでは、今日までのとりくみが、どれだけ重い人間の尊厳がかかったものかということが
理解されないままで終わってしまいます。
ブラジルでの裁判がおこなわれるまでの道のりは本当に大変なものであり、
被害者のご両親の本当に粘り強いご努力があり、最終的に日本政府が動いてブラジル政府に働きかけ、
ようやく裁判にもちこんだという経緯があっただけに、ご両親のショックはいかばかりかと感じています。
また、ご両親のショックというだけではなく、これは日本国政府としても大きな衝撃と
とらえなければなりませんし、日本のブラジル人コミュニティに与える影響も小さくはありません。
わたしたちは、この問題を「すでに過去のこと」「他国での裁判」などとして看過してはなりません。
「国家間の法の違い」という大きな障壁が存在するのは事実ですが、
それにひるむことなく、今後もこの事件を風化させることなく、
この問題には立ち向かってゆかねばなりません。
静岡県は特にブラジル人コミュニティが大きいところでありますし、この事件があった当事者県でもあります。
衝撃を受けて棒立ちになったまま、忘却のかなたに忘れ去ってしまうのではなくて、ここからが大切です。
しっかりとなにをすべきか、どんなことをすべきか、を考えて動いてゆかなければならないと思います。
うすっぺらな”多文化共生”にしないためにも、いまこそ困難に立ち向かわねばなりません。
あらためて山岡理子ちゃんのご冥福を心からお祈りするとともに、
この問題を忘れることなく、しっかりと取り組んでゆこうと考えています。