JAL搭乗率保証問題

17日に川勝知事とJALの西松社長の会談が行なわれました。
「搭乗率保証問題」「JALの富士山静岡空港路線からの撤退問題」
についての話し合いがもたれたわけですが、結果、
話し合いは「平行線」というかたちで終了しました。

JALの言い分は下記の通り。
『集客努力もしているし、早めに機材の小型化をして搭乗率の向上も
図っている。また、3月末に撤退をすることも現在のJALの経営状況下
ではいたしかたなく理解を求めたい。それに、搭乗率保証の提案は
2005年に静岡県から持ち出されたもので当社からは求めていない』

対する川勝知事の言い分。
『そもそも搭乗率保証制度は、路線の存続が大前提であるはずだ。
なのに、3月までの計算なのに(もし仮に搭乗率が70%を下回ったら)
保証金だけ静岡県からもらって撤退して、4月からはFDAに任すと
いうことであれば、信義に反する行為だ。需要拡大の努力を静岡県一丸と
なって展開している最中の10月に「来年6月ころから運休」の通知を
したうえに、今度は前倒してお金をもらったら即「3月末で撤退」という
行為は民法上の信義則違反にあたる。』

双方の言い分は理解できるものであるので、
冷静に少し整理しておきたいと思います。
まず、JALの言い分のなかで
『搭乗率保証制度は県が言い出したこと』
これは事実であるようですので、県としては弱いところです。
当然ながら、当時は知事ではない川勝知事としたら
納得いかないのは良くわかりますが、(私だって納得いかない!
なぜなら、2005年にウラで話ができていて、開港直前になって
いきなり出してきて議会で無理やり通したのですから!!)
が、ここは静岡県という組織の責任としては
認めざるを得ないと感じています。
この問題の最大の問題は、当時これを持ち出した担当者は今はいない。
詳しい経緯も記録も残していない。
ここが、公務員組織の悪いところです。
また、空港部が解体に追い込まれた体質そのものだと
断じざるをえません。
ホント、ひとりひとりは優秀でまっすぐなのに
組織となるとこうなることは組織の恐ろしさです。

知事が「公務員の育成方法を変える」、
「任期を3年から5年に延ばす」「専門職をつくる」、
とたまらず切り出したことをもっとも顕著に表しているところです。

しかし、JALも会社の存続の危機にあるということで、
今回の決定はある意味理解はしないでもありませんが、
ただいくらなんでも3月末撤退はないでしょう。
これは知事が怒るのも無理はありません。
あくまで「路線維持」のための搭乗率保証制度であったはずで、
路線の継続にFDAが手を挙げたことをいいことにして、
”渡りに舟”では、本当に信義に反すると感じます。
県民の代弁者たる知事が怒るのもよーくわかります。
せめて、減額や搭乗率のパーセンテージの引き下げの提案や検討、
せめて議論はあってしかるべきではないでしょうか。

しかしながら、現実はもはや時間だけが過ぎてゆくという感じです。
今は、とにかくいま出来ることをする、というのが私のスタンスです。
現在の福岡線のトータルの搭乗率は64.5%
なんとか70%を越えるところまでもってゆき、
無駄な税金の出費を抑えることがもっとも現実的な対応です。
しっかり使う機会を自らも増やし、この路線の魅力を
より多くの人たちにも伝えて、搭乗率の向上を図ってゆきたいと思っています。

また、この搭乗率保証問題については、
いままでの杜撰な計画や無責任なやりっぱなし、
非現実的で無謀な利用予測など、日本の空港および航空業界が
かかえてきた膿の象徴のような部分でもあったのだろうと
考えてきましたので、これはこれでおしまいではなく、
静岡空港の今後についても、日本の航空政策についても、
「未来図の再設計」が必要なことを強く教示してくれた
事案ではないかな、と感じています。

世界の中でのこの静岡空港をどう考え、どう運営したらよいのか、
今後、そういう視点でワイドに考えてゆこうと思っています。

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