毎年この時期は各地の敬老会へお招きいただきます。
敬老会では、地域の古老のみなさんのお話をお伺いするのが
楽しみのひとつですが、今日は集落の高台のお寺が会場で
そのお寺からの絶景を眺めながらこんなお話をお伺いいたしました。
『向かい側の山と集落の景色が昔と違う。
なにが違うかというと、今山林になっているところの多くは「野」であった。
「野」とは、その名の通り草刈をするところで、
昔話の”お爺さんは山へ芝刈りへ”の場所である。
その「野」には、「かやぶき屋根」の材料になる萱が生い茂り、
その萱や草木は果樹園やお茶園の下草になり、かまどの炊きわらになる。
そして、「野(野山)」には、低木があるが、その低木には
この季節には「あけび」がからまり、地面には自然薯が自生している。
子どもたちは、みんなそれを知っていて、時に学校の授業を
先生もいっしょにさぼって(課外授業とも言う)「野」に出かけた。
楽しい、豊かな場所であった。
ところが、いつの間にか「野」が消え、斜面は山林になった。
森があって、つぎに野があって、里がある。
それが昔の日本の風景だった。
今は、山林からすぐ里になる。
だから、いのししなんかの食害があるんだ。
野生の動物と人間の緩衝地帯が「野」であった。
・・・風景を見ているといろんなことがわかるよ。』
じっくり考えながらあらためて風景を見ることができました。
生きた、しかも長い年月によってしっかりと刻み込まれた
お話をお聞きできること。そしてそれによって教えられること。
本当にこの世の中にはなんとたくさんあることか。
政治家としても人間としても、そして日本人としても
本当によーくかみしめ考えることができる一日を、そして豊かな心を
このすばらしい秋の日にいただきました。
みなさま、ほんとうにいつまでもお元気で長生きされてください。
”ほんとうにありがとう”ございました。