【質問1】 「静岡県の学童保育設置・運営指針の策定について」
埼玉県など10県ほどが、厚生労働省が策定した
「放課後児童クラブガイドライン」だけでなく、独自の
「学童保育の設置・運営基準」を定めて、事業の拡充を図っている。
静岡県は独自の設置・運営基準やガイドラインを策定していないが、
今後の施設整備の促進など学童保育の拡充に向けて計画的に前進し、
学童保育のあるべき姿として、「設置・運営基準」にかかる部分、
そして、「生活と学びの場」として異年齢のこどもたちの関係の
中での責任感等の醸成など、「こどもの育ち」に関する部分を含めた、
全国より一歩進んだ「学童保育指針」を県として策定すべきと考えるが、
所見を伺う。
【回答】
放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、
保護者会などの民間主導で始まり、その設置場所や運営は、
地域の実情や利用者のニーズに応じて様々でありますことから、
市町村が柔軟に事業に取り組めるよう、基準は設けられて
おりませんでした。
こうしたなか、平成19年10月国において、
「放課後児童クラブガイドライン」が策定されましたことから、
県といたしましては、実施主体である市町村に対して、
ガイドラインに沿ったクラブの運営に取り組むよう
助言しているところであります。
しかしながら、国のガイドラインの内容は、
規模や施設面積などの基準に留まっており、
子どものより良い保育環境を確保するためには、
ガイドラインにない、職員の配置基準や児童数に応じた
設備基準などに加え、望ましい学童保育の内容を含む、
独自の指針の策定も一つの手段と考えられますことから、
今後、保護者等の意見も参考に、市町村と協議し、
独自の指針ないしはガイドラインの策定をしてまいります。
【再質問】
学童保育の平成20年の定員は18,400人で、
実際登録している人数が19,060人と660人オーバーして
受け入れている。登録できなかった児童、待機児童の475人と
合計して、1,135人の逼迫した需要がある。
対して保育所は、定員50,920人に対して入所児童は49,733人と、
逆にこちらは定員に余裕が1,187人ある。
ただ、地域性の格差もあり待機児童が310人県内では発生しているが、
今や、この数字を見ると待機児童問題の主戦場は
保育所から学童保育に移ったと感じるが、所見を伺う。
また、昨日桜町議員への厚生部長の答弁で、
保育園の待機児童の解消については”市町村に強力に働きかける”
という言葉があったが、この数字を見る限りでは、
学童保育の待機児童問題について、
”ものすごく強力に働きかける”ということになるのかと思うがどうか。
【回答】
待機対策の中心が保育所から、放課後児童クラブの方へ移ったので
はないかという御指摘でございますが、確かに数字を見てみますと、
放課後児童クラブ、学童保育の方は、年々利用者が1割くらいずつ
増えているのが現状です。
そのために、市町村が主体となってクラブを設置しておりますけれども、
整備が追いつかない状況が続いていると認識をいたしております。
市町村も厳しい財政事情下で、放課後児童クラブの増設には積極的に
取り組んでくれておるわけですけれども、そしてまた、県もそれなりの
支援をしているわけですけれども、追いつかないというのが実態でございます。 そのため、県といたしましても、なお、様々な手立てを講じていかなければ
ならないと感じているところです。
今後とも、市町村とよく話し合いを持ちまして、
放課後児童クラブを増設する方式を考えていきたいと考えております。
【再々質問】
これらの諸問題を解決してゆくためには、学童保育の指針を作っていくことが、「静岡県としての理想の学童保育の形」ができることにつながると思うので、
指針の必要性についてどう考えるのか、もう一度伺う。
【回答】
放課後児童クラブに関します国のガイドラインの内容というのは、
大変大雑把なものでございますので、もう少し具体的な
例えば職員の配置基準でありますとか、あるいは児童数に応じた設備基準、
こういったものについて、きちんと策定をしていく必要があると考えております。
【質問2】「指導員の諸条件整備について」
学童保育を支えている指導員の身分保障ならびに処遇はとても厳しい。
国の制度による処遇改善を待つのではなく、県として単独の支援制度を
考えることはできないか。
また、研修制度の充実も図ることはできないか。
それが指導員の質の向上、人材の安定供給につながることでもあると
考えるが、所見を伺う。
【回答】
県では、放課後児童クラブの運営に対し、国の助成制度を活用するとともに、
小規模クラブを対象とする県独自の助成制度を設け、設置と運営の両面から
市町村の支援を行ってきております。
指導員の処遇改善につきましては、当面は、待機児童の解消を目指して、
クラブの新設に重点的に取り組んでおりますため、厳しい県の財政状況の
下では新たな支援制度の創設は難しいと考えております。
しかしながら、指導員の処遇は、そのクラブの運営方針に負うところが
大きいことから、直営、委託等と様々な運営形態のうち、
優れた取組事例の情報を提供することで、処遇改善につながるよう、
市町村を誘導してまいりたいと考えております。
また、指導員の研修につきましては、地域のニーズに対応した
研修の実施により、指導員の資質の向上に努めてまいりましたが、
今後とも、その時々の課題や困難事例への対処方法など、
より専門性を高める内容を含め、一層の充実を図ってまいります。
【質問3】「特別支援学校への学童保育の設置について」
特別支援学校に通学する児童の保護者の負担軽減のため、
また、入所できる学童保育の選択肢を増やすために、
県立特別支援学校への学童保育設置を検討すべきと考えるが、
教育長の所見を伺う。
【回答】
教育委員会としては、学童保育を始め、いわゆる子どもの
放課後対策については、基本的には、「地域の子どもは地域ではぐくむ」
ことが、子どもの健全な成長や地域の発展にとって大事なことであり、
障害児と健常児が、住んでいる地域で交流することの意義は大きいと
考えております。
県立の特別支援学校で学童保育等を実施するに当たっては、
実施場所の確保、障害児に対応できる指導員やボランティアの養成、
送迎方法等解決しなければならない課題が多くあるのも事実であります。
しかしながら、議員御指摘のとおり、保護者の負担軽減や放課後活動の
選択肢の一つになることを考えたとき、県といたしましては、
児童、保護者、地域、学校のニーズを把握するとともに、
先進事例等を調査し、より良い方法について関係部局と連携して
研究をしてまいりたいと考えております。
【再質問】
教育長から特別支援学校への学童設置について非常に前向きな答弁があったが、
厚生部としてはどのような所見を持っているのか伺う。
【回答】
特別支援学校等に通学している児童が、放課後児童クラブを利用する場合、
地域の一般クラブの利用を希望する場合には、市町村やクラブが障害の状態と、
クラブの受入態勢により、入所の判断をしているところであり、
可能な限り受け入れるということで進めております。
御質問の特別支援学校へのクラブの設置につきましては、
厚生部といたしましては、一般の小学校内へのクラブを設置する場合と同様に、
特別支援学校の同意が得られるものであれば、推進されるべきものであると
考えております。
【再々質問】
学童保育について基本事項をもう一度確認いたします。
学童保育は学校の空き教室や敷地に設置することがベストだと思うが、
これには学校側の協力・理解が不可欠である。教育委員会として、
学童保育の支援のためにどんなスタンス・協力体制で臨むのか。
【回答】
学童保育についての基本的な考え方ということでありますけれど、
実施場所の確保が一番問題になろうかなと思いますが、
学校では放課後、放課後子ども教室等も行っておりますので、
色々な形で放課後に指導を行っている場面があるものですから、
教育活動に支障の無い範囲で、私は、積極的にその場の提供を
していくことは必要なことだと思います。
そのような形で協力するよう市町村を指導してまいりたいと思っています。